パラドックス定数の有料配信を観たよ②

※ややネタバレ


『インテレクチュアル・マスターベーション
あらすじが難しいな。平民社に集う社会主義者七人がわちゃわちゃしてる話です(違う)。冒頭とラストのセリフに重複してる部分があるんだけど、全く印象が変わってうわぁ……となった。
一番好きなのは屋上演説シーン。山川均の「よーく聞け、この殺人者共めが!」から始まる演説は、思わず暗記したくなるほど格好良い。声の張り方がめちゃくちゃいいんだよな。演説してる人以外の細かい演技もよかった。木下尚江の高所恐怖症っぷりが可愛い。
可愛いと言えば大杉栄。自由!という感じでとてもいい。笑い声がほぼ奇声。幸徳秋水のことを「嵐のあとの深い空のような男」と表現するところもいい。ぴったり。

気になったところ
・演説って実生活でちゃんと聞いたことないけど、最初から最後まで聞いたら「やってやろう!」っていう気になるのかもしれない。それほど耳触りのいい言葉が使われてるってことなのかも。
・みんな衣装のどこかしらが赤いんだけど、幸徳秋水はコートの裏地が赤。他のメンバーは表面に赤があるので、目立たない場所にあるのは何か意味がありそう。(追記:チーフもシャツの下も赤いの見逃してた……でも赤い裏地って意味ありげじゃない!?)

『五人の執事』
広い館を歩き回る執事たちの話。ストーリーの筋を追うのが楽しい作品だった。観終わってからも、あの方は本当に死んでるの?どこからどこまでが妄想なの?執事Rは存在するんだよね?と次々謎が湧いてくる。かなり好きです。
執事たちの微妙なパワーバランスを推し量るのも楽しいし、印象が変わっていくのも面白い。後半になってそうではないと分かるんだけど、西原さん演じる執事Rの不安定さがよかった(生きてらっしゃいます、って繰り返すシーンとか)。あと、十枝さん演じる執事Qと二人で食事するシーン最高。

好きなとこ
・ちょいちょい出てくるウツギが印象的だった。調べてみると、幹の中が空洞なことから空木とも書くらしい。この作品にぴったりすぎない?五月になったら実際に見に行きたいな。
・「廊下の奥に悪夢が立っている」「私の周りから一歩だけ世界が遠ざかる」など、日記の文章がよかった。どこのゴシック小説だ。

東京裁判
東京裁判における弁護人たちの話。ここまで全部あらすじが下手くそで申し訳ない。多分一日の出来事なので、五作品の中では一番タイムスパンが短いのかな。そのせいか、あっという間に観終わった記憶がある。ちょっと物足りないと感じたのはそのせいかも。内容はギュッと凝縮されているので見応えはあった。これから始まるんだ、と感じさせるラストがすごい好き。
頭も回れば口も回る末永さんよかったなぁ。資料に突っ伏したり、やたらお腹を減らしたり、感情のブレーキを掛けられるところがすごくいい。おこがましい言い方だけど、どうにかして幸せになってほしい。


全部観終わって
ホームページの公演写真見てニヤニヤ、パラブログ整数見てニヤニヤ、待ち受けの捜査員見てニヤニヤ……日常がパラドックス定数に侵食されている!
それぐらいどの作品も面白かった。人と人が関わって変化していく様を眺めるのは楽しい。いつか生で観劇したい!(配信ももっと増やしてほしい~)


余談
『怪人21面相』は最初呆然としてしまった。展開に全く容赦がなくて、これ生で観たらどうなっちゃうんだろうと思った記憶がある。一番好きだなぁ。あとこの作品は白砂さんが本当にいい。身近にいたら恐ろしい(この人の言うことに従ってたら間違いないって思わされそう)んだけど、画面の向こうから見てる分には魅力的。余裕がなくなっていく様子も最高だった。自分のなかで一番あとを引いてるキャラ。
白砂さんは割とサラッと酷いことを言うんですが、『東京裁判』の鵜沢さんもそんなところがある。言葉でコントロールするのが上手い。その言葉が効果的だって分かってて発言してる。最悪で最高。
ここまで書けばお分かりですね。そう、私は西原さんが演じるキャラクターがめちゃくちゃ好きです。白砂さんは言わずもがな、執事Rも木下尚江も色気がすごい。尚さんは赤シャツが似合いすぎだ。
キャラクターの魅力もあると思うけど、その演じ方も好きだなぁと思う。そのキャラだったらそうするよな、というか。わざとらしくないっていうのかな……分からん!全然関係ないけど『怪人21面相』のとき着けてた銀縁眼鏡めちゃくちゃ似合ってましたね!(脈絡なくなってきたのでおわり)