パラドックス定数『怪人21面相』の布教

『怪人21面相』はパラドックス定数という劇団が2008年に上演した作品です(公式HP

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三億円事件の時効成立からおよそ十年後に起きたグリコ森永事件を題材にした作品。『三億円事件』は犯人を追う視点からの話だったけど、『怪人21面相』は追われる立場の視点で話が進む。

登場人物は会社役員、新聞記者、変なヤクザ、元刑事の四人。それぞれ異なる目的を抱えながら犯罪を遂行していく。話が進むにつれて人間関係が変化していくのが面白い。

 

個人的な話なんですが、パラドックス定数の有料配信五作品の中で一番好きなのが『怪人21面相』なんですね。それぞれの背景や事情が分かっても観客に同情させないところが本当に好きで。ただただどうしようもない気持ちになる。ラスト辺りの展開は本当に堪らなくなります。

あと、個人的に五作品の中で一番とんでもねえキャラだと思ってるのが、この作品に出てくる元刑事の白砂駿嗣という人物なんですね。変なヤクザを自分の手足のように使ってるんですが、この二人の関係性が変化していく様子も面白くて。

白砂駿嗣の恐ろしいポイントを挙げていけばきりがないんですが、一番嫌だなと思ったのが言葉で人をコントロールするところです。この人が言葉を発するとそれまで最悪な空気だったのが、一気に犯罪頑張ろう!みたいになるのですごいなと思います。意識的にせよ無意識的にせよタチが悪い。

それだけにラストは呆然としてしまうし、元には戻れないんだな……となります。もう観てる側の情緒ぐっちゃぐちゃ。最高。

また、『三億円事件』と世界観が繋がってるので、それを観てから『怪人21面相』を観るとより楽しめるかなと思います。白砂さんの最悪さを浴びてほしい。

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以上布教でした!観てね!!!