パラドックス定数の有料配信を観たよ①

※ネタバレがめちゃくちゃあります


三億円事件
実在の事件をモデルにした演劇作品。時効成立までの三ヶ月を捜査員たちの視点で描いている。どっちかというと事件の真相解明より、捜査員同士のやり取りがメイン。怒鳴ったり、懐柔したり、庇ったり。関係性が変化していく様子がとても面白かった。

どうでもいいけど馬見塚警部の「起立!はい相互に礼!」がテンポよくて好きだな。ザ・組織の上に立って指示する人という感じ。みかん農家、似合うと思いますよ。同じ所轄チームの高瀬巡査部長は地味にキャラがいい。飄々としてるくせに情に弱くて、事件関係者にも先輩刑事にも肩入れしちゃう。華山に頼れたらよかったのにね。

本庁チームでいうと、やっぱり白砂と宮内の公安コンビがよかった。最初はいけ好かない二人だなと思ってたけど、途中白砂が宮内を心配し始める辺りから印象が変わった。何だか感情が大きいな……?この二人の関係性は上手く説明できないけど、
宮内→白砂:あなたの右腕になりたい(対等な関係になりたい)
白砂→宮内:何もできない子供(守らなければならない存在)
という感じなのかな。守らなければならない存在という認識が崩れていくのがいいですね。そして白砂さんは何処へ……という気持ちを抱えたままま『怪人21面相』へ。


『怪人21面相』
白砂さん……白砂さん……!!観終わってそんな言葉しか出てこない。この『怪人21面相』は、グリコ森永事件を題材にした犯人視点の話なんですけどね……。
犯人グループに白砂さんがいるのはまあいいよ(やりそうだし)。でも最後どうなるかほんまに想像できひんかったんかな。宮内……。焼身自殺をした理由はもう誰にも分からないけど、白砂さんと会ってしまった影響は確実にあるんだろうな、という気がする。

後半は呻きながら観てた。幸村の背景を知って手を拭う蓮見の反応が本当にきつい。蓮見のことが一気に嫌いになるとともに、じゃあお前はどうだ?と問われている気持ちになった。キャラクターの事情が判明するシーンって、大体納得とか同情することが多いかなと思うけど、これは観客を突き刺してくる感じ。脚本に容赦がない。

また白砂さんの話に戻るんですが、言葉で場の雰囲気や人をコントロールしている気がする。『三億円事件』でも「家族が死んだら誰でもそうなります」とか言って場を冷ましてたし。それが効果的なセリフだと分かった上で発言してるんだろう。
今作ラストの「何で宮内が死んでお前が生きてるんだよ」(うろ覚え)というセリフは本音なんだろうな。最悪で最高。そこから「権力好きか?」につながる流れもね……幸村の表情も相まってぐわぁぁぁとなる。
もうね、白砂さんのことがよく分かんないんだよね。何でそんなに宮内に執着してるの?幸村は宮内の代わりなの?依存してるのは白砂さんの方?こいつは俺がいないと駄目なんだという存在が必要なの?疑問があとからあとから湧いてくる。アリジゴクみたいなキャラだな。

言語化できない細かいこと
・「想像」というキーワード
想像できない幸村、演者の表情が分からない(ので想像するしかない)二階からの演技、想像したくない結末(白砂さん壊れちゃってない?)
・写真破くくだり
元カノの写真を見つけて嫉妬した現カノっぽい
・権力について
幸村は嫌い、宮内は好むと好まざるに関わらず持っているもの、白砂は俺も嫌いって言ってたような……


以上です!とりとめがない!次は『インテレクチュアル・マスターベーション』観よ~